一 景気を知るという事

現代語訳

  1. `景気を見る
  2. `というのは
  3. `大分の兵法にあっては、敵の盛衰を知り、相手の隊の心を知り、その場の形勢を捉え、敵の景気をよく見受け、己の隊をどう仕掛ければこの兵法の理によって確実に勝てるかというところを飲み込んで、の形勢を見通して戦うのである
  4. `また一分の兵法も、敵の流派を弁え、相手の人柄を見受け、人の強い所・弱い所を見つけ、敵の想定と違うことを仕掛け、敵の具合の抑揚を知り、その間の拍子をよく知って、を仕掛けるところが肝要である
  5. `物事の景気というものは己の知力が強ければ必ず見えるところである
  6. `兵法が自在の身になって後は、敵の心をよく測れて勝つ道が多くなるものである
  7. `工夫あるべし