一 兵法の道

原文

  1. `士卒たる者は大工にして手づから其道具をとぎ色々のせめ道具をこしらへ大工の箱に入て持統領云付る所をうけ柱こうりやうてうのにてけづりとこだなをもかんなにてけづりすかし物ほり物をもしてよくかねを糾しすみずみめんど迄も手際く仕立る所大工の法也
  2. `大工のわざ手にかけてくしおぼえすみかねを知りて後は統領となる
  3. `大工のたしなみきるる道具を持透々にとぐことが肝要也
  4. `其道具をとつてみづし 書棚 机 卓又はあんどん まないた 鍋のふた迄も達者にする所大工のなり
  5. `士卒たる者このごとく也
  6. `能々吟味有べし
  1. `大工のたしなみ
  2. `ひずまざる事
  3. `とめをあはする事
  4. `かんなにてくけづる事
  5. `すりみがかざる事
  6. `後にかざ
  7. `肝要也
  1. `此道を学ばんと思はば書顕す所のことごとに心を入て吟味有べきもの也