一一(一四六)樵夫の小童隠題の歌詠む事

現代語訳

  1. `昔、隠し題をむやみに出したがる帝がおられ、ひちりきを題に詠ませられたものの、人々の歌が下手だったので、木こりの少年が、朝、山へ行くときに
  2. `先日篳篥の題が出たけれど、みんな読めなかったそうだよ
  3. `自分なら詠めたのに
  4. `と言うと、共に出かけた少年が
  5. `そんな向こう見ずなことを言うな
  6. `身の程もわきまえないで
  7. `と言うので
  8. `どうして身の程知らずだなんて決めつけるんだ
  9. `と言い
  10. `めぐり来る、春々ごとに桜花いくたびちりき人に問いたい
  11. `と詠んだ
  12. `木こりの少年の分際で、思いがけぬものである