(一一六)堀川院明暹に笛吹かせ給ふ事

現代語訳

  1. `これも昔の話、堀川院の時代、奈良の僧らを召して、大般若の読経を行われた際、明暹もこの中に参上した
  2. `そのとき、帝は、御笛をお吹きになられたが、様々に調子を変えてお吹きになったとき、明暹がその調子に合わせて声を違えず誦し上げたので、帝は怪しまれ、この僧をお呼びになると、明暹が庭にひざまずき
  3. `仰せにより、簀子の上にいると
  4. `笛を吹くか
  5. `とお尋ねになった
  6. `作法どおりに仕ります
  7. `と答えたところ
  8. `やはりそうか
  9. `と、御笛を与えてお吹かせになったので、万歳楽をえもいわず吹けば、感動なさり、そのままその笛をお与えになった
  10. `その笛は伝わり、今は八幡別当・幸清のもとにあるという
  11. `件笛幸清進上当今建保三年也