一三(六五)智海法印癩人と法談の事

現代語訳

  1. `これも昔の話、智海法印が有職の時、清水寺へ百日お参りし、夜更けに下向していると、橋の上で
  2. `唯円教意
  3. `逆即是順
  4. `自余三教
  5. `逆順定故
  6. `という文を誦す声がする
  7. `尊いことだ
  8. `いかなる人が誦しているのだろう
  9. `と思って近寄って見れば、白癩人であった
  10. `傍らにいて、法文について語れば、智海はほとんど言い負かされてしまった
  1. `京都・奈良にこれほどの学生はいないぞ
  2. `と思い
  3. `いずれの所においでか
  4. `と問えば
  5. `この坂にございます
  6. `と言った
  7. `後に度々尋ねたが、尋ねあわずに終わってしまった
  8. `もしや他界の人か化身ではないのか
  9. `と思った