一四(六六)白河院御寝の時物におそはれさせ給ふ事

原文

  1. `これも今は昔白河院御殿ごもりて後物にれさせ給ひける
  2. `然るべき武具を御枕の上に置くべき
  3. `と沙汰ありて義家朝臣に召されければ真弓の黒塗なるを一張参らせたりけるを御枕に立てられて後魘れさせおはしまさざりければ御感ありて
  4. `この弓は十二年の合戦の時や持ちたりし
  5. `と御尋ねありければ覚えざる由申されけり
  6. `上皇頻りに御感ありけるとか