一 くづれを知るという事

現代語訳

  1. `崩れ
  2. `ということは物毎にあるものである
  3. `その家が崩れる、身が崩れる、敵が崩れることも、その時機に中って拍子が狂って崩れるのである
  4. `大分の兵法にあっても、敵の崩れる拍子に乗じて、その間を逃がさぬように追いたてることが肝要である
  5. `崩れるところの息すなわち呼吸を逃がしては、敵は立て直すところがあろう
  6. `また、一分の兵法でも、戦の中で敵の拍子が違って崩れ目が生ずるものである
  7. `そのあたりを油断すれば、また敵が立ち直り、勢い新たになって行かなくなるのである
  8. `その崩れ目に付け込み、敵が顔を立て直さぬように確実に追いかけるところが肝要である
  1. `追いかけるというのは真っ直ぐに強い心である
  2. `敵が立て直れぬように打ち放すものである
  3. `打ち放すということ、よくよく分別あるべし
  4. `離れねば後までぐずりかねない
  5. `工夫すべきものである