一六(六八)了延房に実因湖水の中より法文の事

現代語訳

  1. `これも昔の話、了延房阿闍梨が、日吉神社へ参っての帰り、唐崎の辺りを通りかかったとき
  2. `有相安楽行
  3. `此依観思
  4. `という経文を誦すと、波の中から
  5. `散心誦法花
  6. `不入禅三昧
  7. `と、末の句を誦す声がした
  1. `不思議に思い
  2. `どなたがおいでなのですか
  3. `と問えば
  4. `具房僧都実因
  5. `と名乗ったので、水際で法文を談じていると、少々道理に合わないことなどを答えたため
  6. `それは道理に合いません
  7. `いかに
  8. `と問えば
  9. `正しく申したと思うのですが、生死を隔ててしまったので、力及ばぬことなのです
  10. `私だからこそ、これほども申せたのです
  11. `と言ったという