(一一七)浄蔵が八坂の坊に強盗入る事

原文

  1. `これも今は昔天暦の頃ほひ浄蔵が八坂の坊に強盗その数入り乱れたり
  2. `然るに火を点し太刀を抜き目を見張りて各立ち竦みて更にする事なし
  3. `かくて数刻をふ
  1. `夜やうやう明けんとする時に浄蔵本尊に啓白して
  2. `早く許し遣はすべし
  3. `と申しけり
  4. `その時に盗人ども徒らにて逃げ帰りけるとか