一六 飯塚

原文

  1. `夜飯塚にとまる
  2. `温泉あれば湯にて宿をかるに土座てあやしき貧家
  3. `もなければゐろりのかげに寝所をまうけて臥す
  4. `夜に雷鳴雨しきりによりもり蚤蚊にせせられて眠らず
  5. `持病さへおこりて消入計になん
  1. `短夜の空もやうやうれば又旅立
  2. `夜の余波心すすまず馬かりて桑折の駅に
  3. `なる行末をかかる病覚束なしといへど
  4. `羈旅辺土の行脚捨身無常の観念道路にしなん
  5. `天の命なり
  6. `と気力とり直し縦横にで伊達の大木戸をこす