現代語訳

  1. `そもそも風姿花伝の条々は、総じて外見を憚り、子孫の庭訓のために記したものであるが、ただ望むところの本意を述べれば、昨今のこの道の輩を見るに、芸の嗜みは疎かで、門外の芸道に耽り、たまたま能で名を成した時も、ただ一夕の脚光・一旦の名利に染まって、源を忘れて流れを失うなど
  2. `道はもはや廃れる時節か
  3. `とこれを嘆くばかりである
  4. `しかし、道を嗜み芸を重んじ、私心をなくせば、どうしてその成果を得られぬことがあろう
  5. `殊更この芸能は、そのを継ぐといえども伝統とは異なる自力で生み出した振舞もあるため、言葉にもし難しい
  6. `そのを得て、心から心に伝える花、であることから
  7. `風姿花伝
  8. `と名づけた