原文

  1. `一 能によろづ用心をもつべきこと
  2. `仮令怒れる風体にせんときは柔らかなる心を忘るべからず
  3. `これいかに怒るとも荒かるまじき手立なり
  4. `怒れるに柔らかなる心をもつことめづらしきなり
  5. `また幽玄の物まねに強きを忘るべからず
  6. `これ一切 舞 はたらき 物まね あらゆることに住せぬなり
  7. `また身をつかふうちにも心根あるべし
  8. `身を強く動かすときは足踏をぬすむべし
  9. `足を強く踏むときは身をばしづかにもつべし
  10. `これは筆に見えがたし
  11. `相対しての口伝なり