二五 一 そとうごしゅという事

現代語訳

  1. `鼠頭午(牛)
  2. `というのは
  3. `敵との戦の中で、互いに細かい所を探り合って縺れる情態になるとき、兵法の道を常に
  4. `鼠頭午(牛)首、鼠頭午(牛)(鼠の頭から牛の首を思い浮かべよ)
  5. `と思って、ごく小さな心のうちに俄に大きな心にして、大小を変えることである
  6. `兵法の一つの心立てである
  7. `平生
  8. `人の心も鼠頭午(牛)
  9. `と思うべきところが武士の肝心である
  10. `兵法の大分・小分にあってもこの心を離れてはならない
  11. `このことはよくよく吟味あるべきものである