(九五)検非違使忠明の事

現代語訳

  1. `これも昔の話、忠明という検非違使がいた
  2. `彼が若かったとき、清水寺の舞台で、京童部どもとけんかをした
  3. `京童部は手に手に刀を抜き、忠明を立ち塞ぎ、殺そうとしたので、忠明も太刀を抜いて、本堂の方へ上れば、本堂の東の端にも大勢立ち、向かい合ったので、内部へ逃れ、蔀のもとを脇に挟み、前の谷へ躍り込んだ
  4. `蔀は風圧を受け、谷底へ鳥が舞い降りるようにゆっくりと落ちたので、そこから逃げ去った
  5. `京童部どもは谷を見下ろして、驚きあきれつつ、居並んで見ていたが、どうしようもなくて、そのままになったという