現代語訳
- `これも昔の話、伴大納言善男は佐渡の国の郡司の従者であった
 - `その国で善男は夢で
 - `西大寺と東大寺を跨いで立った
 - `と見て、妻にその由を語った
 - `すると妻は
 - `その股を引き裂かれるということでしょう
 - `と判断したので、善男は驚き
 - `つまらぬ事を語ってしまったか
 - `と恐れ、極めて優れた人相見であった主の郡司の家を訪れると、日頃はそんなことなどしないのに、そのときに限って接待をし、円座を取り出して対座したので、善男は怪しみ
 - `自分を騙して、妻の言うように股を裂くのだろうか
 - `と恐れていると、郡司は
 - `おぬしは実に高貴な夢を見た
 - `しかし、つまらぬ人に語ってしまった
 - `必ずや高い地位に就くだろうが、事件が起きて罪を被るだろう
 - `と言った