原文 `早池峰は御影石の山なり `此山の小国に向きたる側に阿倍ケ城と云ふ岩あり `険しき崖の中程にありて、人などはとても行き得べき処に非ず `ここには今でも阿倍貞任の母住めりと言伝ふ `雨の降るべき夕方など、岩屋の扉を鎖す音聞ゆと云ふ `小国、附馬牛の人々は、 `阿倍ケ城の錠の音がする、明日は雨ならん `など云ふ