三四山女

原文

  1. `白望の山続きに離森と云ふ所あり
  2. `その小字に長者屋敷と云ふは、全く無人の境なり
  3. `に行きて炭を焼く者ありき
  1. `或夜その小屋の垂菰をかかげて、内を覗ふ者を見たり
  2. `髪を長く二つに分けて垂れたる女なり
  3. `此あたりにても深夜に女の叫声を聞くことは珍しからず