原文 `白望の山続きに離森と云ふ所あり `その小字に長者屋敷と云ふは、全く無人の境なり `茲に行きて炭を焼く者ありき `或夜その小屋の垂菰をかかげて、内を覗ふ者を見たり `髪を長く二つに分けて垂れたる女なり `此あたりにても深夜に女の叫声を聞くことは珍しからず