二〇 壺の碑

原文

  1. `かの画図にまかせてたどりばおくの細道の山際に
  2. `
  3. `
  4. `今も年々菅菰調て国守に献ずと
  5. `壺碑 市川村多賀城に
  6. `つぼの石ぶみは高サ六尺横三尺
  7. `苔を穿て文字
  8. `四維国界之数里をしるす
  9. `城神亀元年按察使鎮守将軍大野朝臣東人之所
  10. `天平宝字六年参議東海東山節度使同将軍恵美朝臣獦修造
  11. `十二月朔日
  12. `
  13. `聖武皇帝の御時にれり
  14. `むかしよりよみる歌枕おほく語伝ふといへども 山て道あらたまり石はて土にかくれ木はて若木にかはれば時移り変じて跡たしかならぬ事のみをに至りてなき千歳記念今眼前に古人の心を
  15. `行脚の一徳存命の悦び羈旅をわすれて泪もるばかり