一八 武隈

原文

  1. `武隈の松にこそめる心地はすれ
  2. `根は土際より二木にわかれて昔の姿うしなはずとしらる
  3. `能因法師思ひ
  4. `往昔むつのかみにてりし人木をて名取川の橋杭にせられたる事などあればにや
  5. `松はたび跡もなし
  6. `とはたり
  7. `代々あるはあるひは植継などせしと今将千歳のかたちととのほひてめでたき松のけしきになん
  8. `武隈の松みせ申せ遅桜
  9. `挙白ものの餞別したりければ
  10. `桜より松は二木三月越