三〇山男

原文

  1. `小国村の何某と云ふ男、或日早池峰に竹を伐りに行きしに、地竹の夥しく茂りたる中に、大なる男一人寝て居たるを見たり
  2. `地竹にて編みたる三尺ばかりの草履を脱ぎてあり
  3. `に臥して大なるをかきてありき

注釈

`下閉伊郡小国村大字小国
`地竹は深山に生ずる低き竹なり