一一 白川の関

原文

  1. `心許なき日かずるままに白川の関にかかりて旅心りぬ
  2. `いかで都へ
  3. `便求しも
  4. `中にも関は三関の一にして風騒の人心をとどむ
  5. `秋風を耳に残し紅葉をにして青葉の梢あはれ也
  6. `卯の花の白妙に茨の花のそひて雪にもこゆる心地ぞする
  7. `古人冠を正し衣装をし事など清輔の筆にもとどめれしとぞ
  8. `卯の花をかざしに関の晴着かな
  9. `曾良