冒頭

原文

  1. `月日は百代過客にしてかふ年も旅人
  2. `舟の上に生涯をうかべ馬の口とらをむかふる物は日々旅にして旅をとす
  3. `古人も多く旅に死せるあり
  4. `予もいづれの年よりか片雲の風にさそはれて漂白の思ひやまず海浜にさすらへ去年の秋江上破屋の古巣をはらひてやや年もる霞の空に白川の関こえんとそぞろ神の物につきて心をくるはせ道祖神のまねきにあひてもの手につかずももをつづり笠の緒て三里に灸するより松島の月心にかかりては人に譲り杉風別墅に移るに
  5. `草の戸も住替ぞひなの家
  6. `面八句を庵の柱に懸置