二三 一 そこをぬくという事

現代語訳

  1. `底を抜く
  2. `というのは
  3. `敵と戦う際、兵法の道の利を以てうわべでは勝つと見えても、不屈の心を絶やさぬことで、うわべでは負け、下すなわち底の心は負けぬことがある
  4. `その件においては、己が俄に変わった心になって敵の心を絶やし、底から負ける心に敵がなるところを見ることが専一である
  5. `この底を抜くこと、太刀でも抜き、また身体でも抜き、心でも抜くのである
  6. `ひと道に弁えてはならない
  7. `敵が底から崩れたときは、己は心に残す必要はない
  8. `そうでないときは残す感覚である
  9. `換言すれば、己に残す心があると、敵は崩れにくいものである
  10. `大分・一分の兵法にあっても底を抜くところをよくよく鍛錬あるべし