原文

  1. `兵法二天一流の心水を本として利方の法を行ふによつて
  2. `の巻
  3. `として一流の太刀筋此書に書顕すもの也
  4. `此道いづれもこまやかに心のには書分がたし
  5. `ことばつづかざると云ふ共利は自ら聞ゆべし
  6. `此書に書付たる所ことごと一字一字にて思案すべし
  7. `大形に思ひては道のちがふ事多かるべし
  8. `兵法の利に於て一人と一人との勝負の様に書付たる所なり共万人と万人との合戦の利に心得大きに見立所肝要也
  9. `此道に限つて少なり共道を見違へ道の迷ひ有りては悪道へ落るもの也
  10. `此書付を見て兵法の道には及事に非ず
  11. `此書に書付たるを我身にとつて書付を見ると思はずならふと思はずにせものにせずして則ち我心より見出したる利にして常に其身になつて能々工夫すべし