八一八一仲胤僧都連歌の事

現代語訳

`これも昔の話、青蓮院の座主のもとへ七宮がいらしたので、御退屈を慰めるべく、若い僧綱や有職たちが庚申講をして遊んでいた折、憎たらしげな上童が瓶子で酒を注いで歩いているのを見て、ある僧がこっそりと
`上童、大童子にも劣りたり
`と連歌にしたので、人々がしばし考えていたとき、仲胤僧都がその場にいたが
`はい、私はさっそく付けましたぞ
`と言うので、若い僧たちが
`いかに
`と顔を見合わせていると、仲胤は
`祇園の御会を待つばかりなり
`と付けた

`これを各々
`この連歌は、どう付いているんだろう
`とこそこそと言い合っていると、それを仲胤が聞き
`それはね、みなさん
`連歌さえ付かぬ
`と付けたんですよ
`と言うと、これを聞き伝える者たちは一斉に
`わはは
`と大笑いしたという