菊花の約

原文

  1. `青々たる春の柳
  2. `家園に種うることなかれ
  3. `交は軽薄の人と結ぶことなかれ
  4. `楊柳茂りやすくとも
  5. `秋の初風の吹くに耐へめや
  6. `軽薄の人は交りやすくして亦速なり
  7. `楊柳いくたび春に染むれども
  8. `軽薄の人は絶えて訪ふ日なし
  1. `播磨の国加古の丈部左門といふ博士あり
  2. `清貧をあまなひて
  3. `友とするの外は
  4. `すべて調度の絮煩しきを厭ふ
  5. `老母あり孟氏の操にゆづらず
  6. `常に紡績を事として左門がこころざしを助く
  7. `妹女なるものは同じ里の佐用氏に養はる
  8. `此佐用が家は頗る富み栄えて有りけるが
  9. `丈部母子の賢きを慕ひ
  10. `娘子を娶りて親族となり
  11. `屡事にせて物をるといへども
  12. `口腹の為に人をはさんやとて敢て承くることなし
  1. `一日左門同じ里の何某が許に訪ひて
  2. `いにしへ今の物語りして興ある時に
  3. `壁を隔てて人の痛しむ声いともあはれに聞えければ
  4. `主に尋ぬるに
  5. `あるじ答ふ
  6. `是より西の国の人と見ゆるが
  7. `伴なひに後れしよしにて一宿を求めらるるに
  8. `士家の風ありて卑しからぬと見しままに
  9. `留めまゐらせしに
  10. `其夜邪熱劇しく
  11. `起臥も自らはまかせられぬを
  12. `いとほしさに三日四日は過ごしぬれど
  13. `何地の人ともさだかならぬに
  14. `主も思ひ掛けぬし出でて
  15. `ここち惑ひ侍りぬといふ
  1. `左門聞きて
  2. `かなしき物語にこそ
  3. `主の心安からぬもさる事にしあれど
  4. `病苦の人はしるべなき旅の空に
  5. `を憂ひ給ふは
  6. `わきて胸しくおはすべし
  7. `其やうをも看ばやといふを
  8. `主とどめて
  9. `瘟病は人を過つ物と聞ゆるから
  10. `家童らも敢てかしこに行かしめず
  11. `立ちよりて身を害し給ふことなかれ
  1. `左門笑ひていふ
  2. `死生命あり
  3. `何の病か人に伝ふべき
  4. `是らは愚俗の言にて吾はとらずとて
  5. `戸を推して入りつも其人を見るに
  6. `主がかたりしに違はで
  7. `なみの人にはあらじを
  8. `病深きと見えて面は黄に
  9. `黒く痩せ
  10. `古き衾のうへに悶へ臥す
  11. `人なつかしげに左門を見て
  12. `湯ひとつ恵み給へといふ
  13. `左門ちかくよりて
  14. `憂へ給ふことなかれ
  15. `必ず救ひまゐらすべしとて
  16. `あるじと計りて薬をえらみ
  17. `自ら方を案じ
  18. `みづから煮てあたへつも
  19. `猶粥をすすめて
  20. `病を看ること兄弟のごとく
  21. `まことに捨てがたきありさまなり
  22. `かの武士左門が愛憐の厚きに涙を流して
  23. `かくまで漂客を恵み給ふ
  24. `死すとも御心に報いたてまつらんといふ
  25. `左門諫めて
  26. `ちからなき事をな聞え給ひそ
  27. `凡そ疫は日数あり
  28. `其程を退ぎぬれば寿命をあやまたず
  29. `吾日々に詣でつかへまゐらすべしと
  30. `実やかに約りつつも
  31. `心をもちゐて助けけるに
  32. `病やや減じてここちしくおぼえければ
  33. `にも念比に詞をつくし
  34. `左門が陰徳をたふとみて
  35. `其生業をもたづね
  36. `己が身の上をもかたりていふ
  1. `出雲の国松江の郷に生長りて
  2. `赤穴宗右衛門といふ者なるが
  3. `わづかに兵書の旨をめしによりて
  4. `田の城主塩冶掃部介
  5. `吾を師として物学び給ひしに
  6. `近江の佐々木氏綱に密の使にえらばれて
  7. `かのにとどまるうち
  8. `前の城主尼子経久
  9. `山中党をかたらひて
  10. `大三十日の夜不慮に城を乗りとりしかば
  11. `掃部殿も討死ありしなり
  12. `もとより雲州は佐々木の持国にて
  13. `塩冶は守護代なれば
  14. `三沢三刀屋を助けて
  15. `経久を亡ぼし給へとすすむれども
  16. `氏綱は外にして内怯えたる愚将なれば果さず
  17. `かへりて吾を国に逗む
  18. `故なき所に永く居らじと
  19. `己が身ひとつを窃みて国に還る路に
  20. `此疾にかかりて
  21. `思ひがけずも師を煩はしむるは
  22. `身に余りたる御恵にこそ
  23. `吾半世の命をもて必報いたてまつらん
  24. `左門いふ
  25. `見る所を忍びざるは人たるものの心なるべければ
  26. `厚き詞ををさむるに故なし
  27. `猶留まりていたはり給へと
  28. `実ある詞を便りにて日比経るままに
  29. `物みな平生くぞなりにける
  1. `此日比左門はよき友もとめたりとて
  2. `日夜交りて物がたりするに
  3. `赤穴も諸子百家の事おろおろかたり出で
  4. `問ひわきまふる心愚ならず
  5. `兵機のことわりはをさをさしく聞えければ
  6. `ひとつとして相ともにたがふ心もなく
  7. `且めで且よろこびて
  8. `終に兄弟のをなす
  9. `赤穴五歳長じたれば
  10. `伯氏たるべき礼義ををさめて
  11. `左門にむかひていふ
  12. `父母に離れまゐらせていとも久し
  13. `賢弟が老母はやがてわが母なれば
  14. `あらたに拝みたてまつらんことを願ふ
  15. `老母あはれみてをさなき心をけ給はんや
  16. `左門歓びに堪へず
  17. `母なる者常に我孤独を憂ふ
  18. `ある言を告げなば齢も延びなんにと
  19. `伴ひて家に帰る
  1. `老母よろこび迎へて
  2. `吾子不才にて学ぶ所時にあはず
  3. `青雲の便を失ふ
  4. `ねがふは捨てずして伯氏たる教を施し給へ
  5. `赤穴拝していふ
  6. `丈大夫は義を重しとす
  7. `功名富貴はいふに足らず
  8. `吾いま母公の慈愛をかうむり
  9. `賢弟のを納むる
  10. `何の望かこれに過ぐべきと喜びうれしみつつ
  11. `又日来をとどまりける
  1. `きのふけふ咲きぬると見し尾上の花も散りはてて
  2. `涼しき風による浪に
  3. `とはでもしろき夏の初になりぬ
  4. `赤穴母子にむかひて
  5. `吾近江を遁れ来りしも
  6. `雲州の動静を見んためなれば
  7. `一たび下向りて
  8. `やがて帰りきたり
  9. `菽水御恩をかへし奉るべし
  10. `今のわかれを給へといふ
  11. `左門いふ
  12. `さあらば兄長いつの時にか帰り給ふべき
  13. `赤穴いふ
  14. `月日は逝きやすし
  15. `おそくとも此秋は過さじ
  16. `左門いふ
  17. `秋はいつの日を定めて待つべきや
  18. `ねがふは約し給へ
  19. `赤穴いふ
  20. `重陽の佳節をもて帰り来る日とすべし
  21. `左門いふ
  22. `兄長必ず此日をあやまり給ふな
  23. `一枝の菊花に薄き酒を備へて待ちたてまつらんと
  24. `互に信をつくして赤穴は西に帰りけり
  1. `あら玉の月日はやくゆきて
  2. `下技の茱萸色づき
  3. `垣根の野ら菊ひやかに
  4. `九月にもなりぬ
  5. `九日はいつよりもく起き出でて
  6. `草の屋のをはらひ
  7. `黄菊白菊二枝三枝小瓶に挿し
  8. `嚢をかたぶけて酒飯の設をす
  9. `老母いふ
  10. `かの八雲たつ国は山陰の果にありて
  11. `ここには百里を隔つると聞けば
  12. `けふとも定めがたきに
  13. `其来しを見ても物すとも遅からじ
  14. `左門いふ
  15. `赤穴は信ある武士なれば必ず約を誤らじ
  16. `其人を見てあわただしからんは思はんことのはづかしとて
  17. `美酒鮮魚に備ふ
  1. `此日や天晴千里に雲のたちゐもなく
  2. `草枕旅ゆく人の群々かたりゆくは
  3. `けふは誰某がよき京入なる
  4. `此度の商物によき徳とるべきになんとて過ぐ
  5. `五十あまりの武士二十あまりの同じ出立なる
  6. `日和はかばかりよかりしものを
  7. `明石より船もとめなば
  8. `この朝びらきに牛窓のの泊は追ふべき
  9. `若きはけく物怯して
  10. `おほく費すことよといふに
  11. `殿の上らせ給ふ時
  12. `小豆島より室津のわたりし給ふに
  13. `なまからきめにあはせ給ふを
  14. `御伴に侍りし者のかたりしを思へば
  15. `このほとりの渡は必ず怯ゆべし
  16. `み給ひそ
  17. `魚が橋の蕎麦ふるまひ申さんにと
  18. `いひなぐさめて行く
  19. `口とる男の腹だたしげに
  20. `此死馬はをもはたけぬかと
  21. `荷鞍おしなほして追ひもて行く
  22. `午時もややかたぶきぬれど
  23. `待ちつる人は来らず
  24. `西に沈む日に
  25. `宿り急ぐ足のせはしげなるを見るにも
  26. `外の方のみまもられて心酔へるが如し
  1. `老母左門をよびて
  2. `人の心の秋にはあらずとも
  3. `菊の色こきはけふのみかは
  4. `帰りくる信だにあらば
  5. `空は時雨にうつりゆくとも何をか怨むべき
  6. `入て臥しもして
  7. `の日を待つべしとあるに否みがたく
  8. `母をすかして前に臥さしめ
  9. `もしやと戸の外に出て見れば
  10. `銀河影きえぎえに
  11. `氷輪我のみを照して淋しきに
  12. `軒守る犬の吠ゆる声すみわたり
  13. `浦浪の音ぞここもとにたちくるやうなり
  14. `月の光も山の際にくなれば
  15. `今はとて戸をてて入らんとするに
  16. `ただ看る
  17. `おぼろなる黒影の中に人ありて
  18. `風のまにまに来るをあやしと見れば
  19. `赤穴宗右衛門なり
  1. `踊りあがる心地して
  2. `小弟くより待ちて今にいたりぬる
  3. `たがはで来り給ふことのうれしさよ
  4. `いざ入せ給へといふめれど
  5. `点頭きて物をもいはである
  6. `左門にすすみて
  7. `南の窓の下にむかへ座につかしめ
  8. `兄長来りたまふことの遅かりしに
  9. `老母も待ちわびて
  10. `こそと臥所に入らせ給ふ
  11. `させまゐらせんといへるを
  12. `赤穴又頭をりてとどめつも
  13. `更に物をもいはでぞある
  14. `左門いふ
  15. `既に夜をつぎて来し給ふに
  16. `心も倦み足もれ給ふべし
  17. `幸に一杯を酌みて歇息ませ給へとて
  18. `酒をあたため
  19. `下物を列ねてすすむるに
  20. `赤穴袖をもて面を掩ひ
  21. `其臭を嫌放くるに似たり
  22. `左門いふ
  23. `井臼のはたすに足らざれども
  24. `が心なり
  25. `いやしみ給ふことなかれ
  26. `赤穴猶答へもせで
  27. `長嘘をつきつつ
  28. `しばししていふ
  29. `賢弟が信ある饗応をなどいなむべきことわりやあらん
  30. `欺くに詞なければ
  31. `をもて告ぐるなり
  32. `必しもな怪み給ひそ
  33. `吾は陽世の人にあらず
  34. `きたなきのかりに形を見せつるなり
  35. `左門大に驚きて
  36. `兄長何ゆゑにこのあやしきを語り出で給ふや
  37. `更に夢ともおぼえ侍らず
  1. `赤穴いふ
  2. `賢弟とわかれて国にくだりしが
  3. `国人大かた経久が勢にきて
  4. `塩冶のを顧るものなし
  5. `従弟なる赤穴丹治
  6. `田の城にあるをひしに
  7. `利害を説きて吾を経久にえしむ
  8. `仮に其詞を容れて
  9. `つらつら経久がなす所を見るに
  10. `万夫の雄人に勝れ
  11. `よく士卒習練すといへども
  12. `智を用ゐるに狐疑の心おほくして
  13. `腹心爪牙の家の子なし
  14. `永く居りて益なきを思ひて
  15. `賢弟が菊花の約ある事をかたりて去らんとすれば
  16. `経久怨める色ありて
  17. `丹治に令し
  18. `吾を大城の外にはなたずして
  19. `遂にけふにいたらしむ
  20. `にたがふものならば
  21. `賢弟吾を何ものとかせんと
  22. `ひたすら思ひ沈めども遁るるに方なし
  23. `いにしへの人のいふ
  24. `人一日に千里をゆくことあたはず
  25. `よく一日に千里をもゆくと
  26. `此ことわりを思ひ出で
  27. `みづから刃に伏し
  28. `今夜陰風に乗りて遥々来り菊花の
  29. `この心をあはれみ給へといひをはりて涙わき出づるが如し
  30. `今は永きわかれなり
  31. `只母公によくつかへ給へとて
  32. `座を立つと見しがかき消えて見えずなりにける
  1. `左門慌忙てとどめんとすれば
  2. `陰風に眼くらみて行方をしらず
  3. `俯向につまづき倒れたるままに
  4. `声を放ちて大に
  5. `老母目さめ驚き立つて
  6. `左門がある所を見れば
  7. `座上酒瓶盛りたる皿どもあまた列べたるが中に臥し倒れたるを
  8. `いそがはしく扶け起して
  9. `いかにと問へども
  10. `只声を呑みて泣くなくさらになし
  11. `老母問ふていふ
  12. `伯氏赤穴がにたがふを怨むるとならば
  13. `明日なんもし来るにはなからんものを
  14. `汝かくまでをさなくも愚なるかとつよく諫むるに
  1. `左門やや答へていふ
  2. `兄長今夜菊花のにわざわざ来る
  3. `酒肴をもて迎ふるに
  4. `再三辞み給ふていふ
  5. `しかじかのやうにて約に背くがゆゑに
  6. `自ら刃に伏して陰魂百里をるといひて見えずなりぬ
  7. `それ故にこそは母のをも驚かし奉つれ
  8. `只々赦し給へと潜然と哭き入るを
  9. `老母いふ
  10. `牢裏に繋がるる人は夢にも赦さるるを見え
  11. `渇するものは夢に漿水を飲むといへり
  12. `汝も又さる類にやあらん
  13. `よく心を静むべしとあれども
  14. `左門頭をりて
  15. `まことに夢の正なきにあらず
  16. `兄長はここもとにこそありつれと
  17. `又声をげて哭き倒る
  18. `老母も今は疑はず
  19. `相呼びて其夜は哭きあかしぬ
  1. `明る日左門母を拝していふ
  2. `吾幼なきより身を翰墨するといへども
  3. `国に忠義のなく
  4. `家に孝信をつくすことあたはず
  5. `徒に天地のあひだに生るるのみ
  6. `兄長赤穴は一生を信義の為に終る
  7. `小弟けふより出雲に下り
  8. `せめては骨を蔵めて信を全うせん
  9. `尊体を保ち給ふて
  10. `しばらくのを給ふべし
  11. `老母いふ
  12. `吾児かしこにくともはやく帰りて老が心を休めよ
  13. `永く逗りてけふを旧しき日となすことなかれ
  14. `左門いふ
  15. `は浮きたる泡の如く
  16. `旦にゆふべに定めがたくとも
  17. `やがて帰りまゐるべしとて涙を振ふて家を出で
  18. `佐用氏にゆきて老母の介抱にあつらへ
  19. `出雲の国にまかる路に
  20. `飢ゑて食を思はず
  21. `寒きに衣をわすれてまどろめば
  22. `夢にも哭きあかしつつ
  23. `十日を経て富田の大城にいたりぬ
  1. `先赤穴丹沿が宅にゆきて姓名をもていひ入るに
  2. `丹治迎へ請じて
  3. `翼ある物の告ぐるにあらで
  4. `いかでしらせ給ふべきなしと頻りに問ひ
  5. `左門いふ
  6. `士たる者は富貴消息の事ともに論ずべからず
  7. `只信義をもて重しとす
  8. `伯氏宗右衛門一旦をおもんじ
  9. `むなしきの百里を来るに報いんとて
  10. `日夜を逐ふてここに下りしなり
  11. `吾学ぶ所についてに尋ねまゐらすべき旨あり
  12. `ねがふは明らかに答へ給へかし
  1. `昔魏の公叔座病のにふしたるに
  2. `魏王みづからまうでて手をとりつも告ぐるは
  3. `むべからずのことあらば
  4. `誰をして社稷を守らしめんや
  5. `吾ために教をせとあるに
  6. `叔座いふ
  7. `商鞅年しといへども奇才あり
  8. `若此人を用ゐ給はずば
  9. `これを殺しても境をいだすことなかれ
  10. `他の国にゆかしめば必も後の禍となるべしと
  11. `に教へて
  12. `又商鞅を私にまねき
  13. `吾汝をすすむれども王許さざる色あれば
  14. `用ゐずばかへりて汝を害し給へと教ふ
  15. `是君を先にし臣を後にするなり
  16. `汝速くの国に去りて害を免るべしといへり
  17. `此事と宗右衛門にへてはいかに
  18. `丹治
  19. `を低れて言なし
  1. `左門座をすすみて
  2. `伯氏宗右衛門塩冶が旧交を思ひて
  3. `尼子に仕へざるは義士なり
  4. `士は旧主の塩冶を棄て
  5. `尼子に降りしは士たる義なし
  6. `伯氏は菊花のを重んじ
  7. `命を捨てて百里を来しはあるなり
  8. `士は今尼子に媚びて骨肉の人をくるしめ
  9. `此横死をなさしむるは友とするなし
  10. `経久強ひてとどめ給ふとも
  11. `旧しき交を思はば
  12. `私に商鞅叔座がをつくすべきに
  13. `只栄利にのみ走りて士家の風なきは
  14. `即ち尼子の家風なるべし
  15. `さるから兄長何故此国に足をとどむべき
  16. `吾今信義を重んじて態々ここに来る
  17. `汝は又不義のために汚名をのこせとて
  18. `いひもをはらず抜打に斬りつくれば
  19. `一刀にてそこに倒る
  1. `家眷ども立ち騒ぐにはやく逃れ出でて跡なし
  2. `尼子経久此よしを伝へ聞きて
  3. `兄弟信義の篤きをあはれみ
  4. `左門が跡をも強ひて逐はせざるとなり
  5. `軽薄の人と交は結ぶべからずとなん