一〇七山の神

原文

  1. `上郷村に河ぷちのうちと云ふ家あり
  2. `早瀬川の岸に在り
  3. `此家の若き娘、ある日河原に出でて石を拾ひてありしに、見馴れぬ男来り、木の葉とか何とかを娘にくれたり
  4. `丈高く面のやうなる人なり
  5. `娘は此日より占の術を得たり
  6. `異人は山の神にて、山の神の子になりたるなりと云へり