一〇六まぼろし

原文

  1. `海岸の山田にては蜃気楼年々見ゆ
  2. `常に外国の景色なりと云ふ
  3. `見馴れぬ都のさまにして、路上の車馬しげく人の往来眼ざましきばかりなり
  4. `年毎に家の形なども違うこと無しと云へり