原文 `馬追鳥は時鳥に似て少し大きく、羽の色は赤に茶を帯び、肩には馬の綱のやうなる縞あり `胸のあたりにクツゴコ一のやうなるかたあり `これも或長者が家の奉公人、山へ馬を放しに行き、家に帰らんとするに一匹不足せり `夜通し之を求めあるきしが終に此鳥となる `アーホー、アーホー `と啼くは此地方にて野に居る馬を追ふ声なり `年により馬追鳥里に来て啼くことあるは飢饉の前兆なり `深山には常に住みて啼く声を聞くなり