五二前兆、色々の鳥

原文

  1. `馬追鳥時鳥に似て少し大きく、羽の色は赤に茶を帯び、肩には馬の綱のやうなる縞あり
  2. `胸のあたりにクツゴコのやうなるかたあり
  1. `これも或長者が家の奉公人、山へ馬を放しに行き、家に帰らんとするに一匹不足せり
  2. `夜通し之を求めあるきしがに此鳥となる
  1. `アーホー、アーホー
  2. `と啼くは此地方にて野にる馬を追ふ声なり
  3. `年により馬追鳥里に来て啼くことあるは飢饉の前兆なり
  4. `深山には常に住みて啼く声を聞くなり

注釈

`クツゴコは馬の口に嵌める網の袋なり