室の八島

現代語訳

  1. `藤原実方の歌いかでかは 思ひありとも 知らすべき 室の八島の 煙ならではなどに詠まれた下野国総社のの八島に参詣した
  2. `同行の曾良が曰く
  3. `この神は木花咲耶姫の神と申しまして、富士浅間神社の祭神と同じです
  4. `夫の瓊々杵尊に貞操を疑われたとき、四方を塞いだ無戸室の中で、不貞の子ならばお腹の子も死ぬはずと自らをお燃やしになり、その誓いのさなかに彦火々出見尊火明命火照命がお生まれになったので、
  5. `室の八島
  6. `と言います
  7. `また、ここが煙を詠む歌枕となったのも、この謂れによるものです
  8. `それから、
  9. `このしろ
  10. `という魚を食すことを禁じている
  11. `子の代に通ずるとして、縁起の趣旨が世に伝わってもいる