三九 山中

原文

  1. `温泉に浴す
  2. `有明に
  3. `山中や菊はたらぬ湯の
  4. `あるじとする物は久米之助とていまだ小童
  5. `かれが父誹諧を好み貞室若輩のむかしりし比風雅にしめられて貞徳の門人となつて世にしらる
  6. `功名の後一村判詞の料をずと
  7. `今更むかしとはなりぬ
  1. `曾良は腹をて伊勢の国長島と所にゆかりあれば先立
  2. `行々てたふれとも萩の原
  3. `曾良
  4. `書置たり
  5. `ものの悲しみもののうらみ隻鳧のわかれて雲にまよふがごとし
  6. `予も又
  7. `今日よりや書付消さん笠の露